インシリコ毒性スクリーニングに関するみんなの広場


 

          
 CBI学会に新たに設立されました「計算機毒性学(Computational Toxicology)」研究会は、日本で最初の計算毒性学研究会として、多くの方々の注目を浴びております。

 「計算毒性学」研究会では化合物毒性に関する様々な問題を、研究会に参加された多くの方々と一緒に討論、勉強、情報交換する場の提供を目指します。
 本研究にご興味のある方々は、研究分野、研究内容、業務内容、スキルレベル、その他の様々な違いがあっても特に問題がありません。「計算毒性学」はその特徴から、様々なバックグラウンドを有する方々に集っていただくことが重要です。少しでもご興味がありましたならば「計算毒性学」研究会に参加いただければと思います。
 研究会の活動内容や、詳細なスケジュール等はキックオフミーティング時および以降の会議や皆様からのご意見等を参考に、順次決定いたしまして「計算毒性学」研究会のネットワーク等に報告させていただきます。順次関連情報等は本ブログにても公表させていただきます。

 計算機毒性学研究会に参加ご希望の方は、以下の「計算毒性学研究会設立報告および参加のお願い」をご一読ください。本資料に書いてありますように、参加のご意向を連絡いただければ、手続きさせていただきます。

2012/02/20

ようこそ、化学多変量解析/パターン認識(ケモメトリックス)によるインシリコADME/Tスクリーニングブログへ:Welcome to the In Silico ADME/T Screening by Pattern Recognitoion Blog

◇ ようこそ、化学多変量解析/パターン認識によるインシリコADME/T スクリーニングのブログへ。 
Welcome to the In Silico ADME/T Screening by Chemical Pattern Recognition Techniques


    現在、創薬や機能性化合物開発の環境は急激に変化しております。創薬では薬理活性のみならずADMEや毒性/副作用(今後は安全性と呼びます)を考慮した化合物の開発が求められています。また、創薬のみならず機能性化合物の開発においても、化合物の物性のみならず、環境に配慮した安全性の高い化合物の開発が急務となりつつあります。企業が生産や販売等の活動を行うためには、日本国内では医薬品は薬事法、一般化合物は化審法、またヨーロッパで一般化合物を扱う時はREACH(Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals)、米国では『有害物質規制法(TSCA:Toxic Substances Control Act)』等で代表される化合物規制のクリアが必要です。

    現在、そして今後のインシリコスクリーニングでは、従来からの薬理活性を目指したスクリーニングからADMEや安全性そして様々な物性を考慮したインシリコスクリーニングが必至です。このような次世代インシリコスクリーニング手法として化学多変量解析/パターン認識(ケモメトリックス)を用いたインシリコADME/Tスクリーニングが注目されています。この手法自体の歴史は長いのですが、現在はドッキングによる薬理活性中心のインシリコスクリーニングが主体で、化学多変量解析/パターン認識によるインシリコADME/Tスクリーニング研究はあまり実施されておりません。

    この研究分野では基礎化学、薬理活性、ADME/T、コンピュータ技術、コンピュータ化学等の知識に加えて化学多変量解析/パターン認識(ケモメトリックス)の知識も必要となり、様々な研究分野の基本知識を必要とする境界研究分野であることが大きなバリアとなっているようです。とはいえども、時代的な要求が強く、ソフトウエアもいくつかあることから最近は様々な研究機関等でいろいろと手探り状態の中で研究が開始されています。しかし、このケモメトリックス分野は複数分野の情報が複雑に絡み合い、長い歴史の過程で個々の分野での適用限界やデフォルト手順等が確定されております。正しい解析を行うためには、これらの様々な条件をクリアしつつ研究することが必要です。しかしながら、これらの研究実施上重要な情報が入手困難なために、化学多変量解析/パターン認識等の誤った適用等がしばしば見受けられます。

    今後この化学多変量解析/パターン認識によるインシリコスクリーニングは、安全性のみならず「実験動物を使わないスクリーニング」ということで、「動物実験代替法」の一つとしても重要な役割を果たすものと考えられます。このような大きな環境変化の中にあって、化学多変量解析/パターン認識によるインシリコスクリーニング関連情報が入手困難であるという現状より、このブログを立ち上げることに致しました。

◆ 化学多変量解析/パターン認識(ケモメトリックス)による
インシリコ ADME/T スクリーニング

In Silico ADME/T Screening by the Chemometrics (Chemical Multi-Variate and Pattern Recognition)

    化学多変量解析/パターン認識(ケモメトリックス)関連技術に関する一般的かつ広範囲な情報は、(株)インシリコデータのホームページ、あるいは関連ブログ(インシリコデータブログ:Blog of the In Silico DataKY法のブログ:Blog of the KY-methods )を参照いただければわかるかと思います。本ブログではこの(株)インシリコデータのホームページや関連ブログでは議論しないインシリコADME/Tスクリーニングに特化した細かな内容や情報をアップ致します。なお、本ブログで扱うインシリコADME/Tスクリーニングは、化学多変量解析/パターン認識(ケモメトリックス技術)によるスクリーニングです。一般的に実施されているドッキング手法によるインシリコスクリーニング手法(薬理活性対象)は扱いません。これらのインシリコスクリーニングは多くのホームページ等で専門ソフトウエアも含めて解説されておりますので、そちらを参考にしてください。